情報ページ
●疑問・質問に答えるコーナー
1.1コース弦がペグボックス後方に張られているのは?
(基本の各弦の張りかたはこのサイトが参考になります。)
ブログ開設のため、コラム的なものはブログに移行し、こちらはウード関係の情報や便利情報、お勧めCDや本を載せることにしました。
ただ、第1回目のコラム「当店の音楽観」はそのまま残しました。
また、薩摩琵琶との比較はこちらです。
ウードにとってのいい環境
●保守
 中東の楽器ということで、環境を必要以上に気にされる方がいらっしゃいますが、確かにかの地とは気候が大きく異なりますが、基本的にバイオリンやビオラといった西洋弦楽器と同じようなケアをすればよいです。木材を使用しており、膠などの接着剤で組み立てられ、マシーンペグではなく木ペグが用いられている、という共通点からして、それ以上に特別弱いというわけではありません。バイオリンを扱うお店の方が「日本の気候で保管するのは難しいですねえ、とくに夏は」と先日おっしゃっていましたが、ヨーロッパや中東に比べ、この日本の夏の高温多湿が一番の敵といえるのはどちらも同じです。フォークギターのようにトラスロッドがネックに入っているわけではないのはクラシックギターと同じですが、ペグクラシックギターの場合ペグはマシーンペグですから、一番構造的に近いのはリュートでしょう。ネックの反りに気をつけなければいけないのも同じです。

 多くの弦楽器同様、暑すぎず、寒すぎず、高湿度、低湿度も避けて、というのが一番ですが、なかなかその環境を維持するのは難しいことでしょう。
 どんな弦楽器も同じですが、響板は湿度が低すぎるとクラックが生じるおそれがあります。逆に高湿度の場合は響板が曲がってしまうことがあります。理想的な湿度は40〜50%です。
 ただ、スプルースの響板は、高湿度時には水分を吸収し、低湿度時には放出する機能があります。適切なケアさえ気をつければ必要以上に恐れる必要はありません。
 通風やエアコンなど、空調に気をつけていただくのはもちろんのこと、基本的に弾かないときはソフトケースまたはハードケースに入れて保管しておくのが一番です。ソフトケースに入れた場合、保管するポジションは一番よいのは、響板(弦側)を下にして置くことです。できたらその下に布を一枚敷いておくとさらによいです。吊るすもよいのですが、落下の危険性があるので気をつけたいところです。
 ケースに入れた場合、ギター用の専用湿度調整剤を入れておくのは結構よいですが、楽器本体にそれが触れないように気をつけてください。

 水で楽器をぬらすことは絶対に避けてください。また、直射日光も避けてください。夏に自動車内に放置するなどもいけません。このあたりもバイオリンなどの弦楽器とまったく同じです。

 演奏後は、きれいで柔らかな布で乾拭きするようにしてください。とくにトルコウードは響板が塗装されていない白木状態なので、手の脂などで汚れやすいので注意してください。演奏前にも手を洗ったほうがよいでしょう。演奏は長袖衣服を着用するのが望ましいです。白木の上の汚れはアルコール少量でそっとぬぐうようにしてください。決して強くこすってはいけません。

 シェラック塗装のウードに合成樹脂塗装用のクリーナーやアルコールを含んだものを使用しないでください。塗装を傷めてしまいます。



●弦は緩めるべきか否か
 ウードはギターやバイオリンなど他の弦楽器と同様、木材から出来ていますから、その木は湿度や温度の変化で伸び縮みします。 湿度や温度は日によっても変わりますし、天候でも変わりますす。 ネックが木でできている以上、どんな高価で上質・精密な工作のウードでも反ります。

 弦は緩めるべきか否かという問題に関してはイエス、ノーの両方の意見があり、どちらも一理あるので難しいのですが、普段よく日常的に弾くようにしているのであれば、張りっぱなしでも構わない、もしくはそのほうがよいかも知れません(楽器の作りにもよります)。または1度ほど下げておけば十分でしょう。しかし、しばらく弾かないで保管するような場合はそれ以上に弦を緩めておく必要があります。
 どちらにしても、時々のチェックは必要です。

 ただし、湿度の関係で、湿度の高い時期は順反りしやすく、湿度の低い時期は逆反りしやすいです。
 ネックは湿度や気温の影響を影響を受けやすいものです。季節の変わり目には、ネックのチェックをしたほうがよいです。。
 梅雨の時期に弦を緩め、逆に冬の乾燥した時期は緩めた状態で放置するのはよろしくありません。

 また、チューニングについては様々なものがあるのはご存じの方が多いと思いますが、ひとつ、注意していただきたいのが、トルコウードにアラビックチューニングをするのは大丈夫でも、その逆は問題があるということです。トルコ式チューニングは高めなので、アラビックウードを傷める可能性があります。

●コンディション

★弦高調整
 クラシックギターと異なり、ウードにはブリッジにサドルがありません。これまたリュートと同じです。ですから、基本的には穴に止まっている位置のまま弦高は固定です。しかし、名著"Ud Metodu"にも正式な方法として載っているとおり、ブリッジに弦をゆわく位置で若干の弦高調整が可能です。弦をやや緩めた状態でブリッジ付近の弦をグイッと引っ張りあげることによって、弦高が上がります。夏季に高温多湿によって木材が膨張してビビリ音が出た場合、まずこの方法を試してください。


★ビビリ音
 多いトラブルが、ビビリ音です。上の弦高調整をやってみてそれでもダメな場合は、大変に多くの原因があり、突き止めるのは時間がかかる場合も少なくありません。次のような原因が考えられます。
1.響板裏のブレースが外れかかっている
2.ブリッジに巻きつけた弦の最後尾が長すぎてブリッジに当たっている
3.指板の細微な凹凸
4.ネックの逆反り
5.ロゼッタが一部外れかかっている
6.ペグボックスとペグの当たりの悪さ
7.弦が古く傷んでいる
8.ペグボックス内で複数の弦が交差している
 一つ一つチェックしてみてください。
 また、指板への貝細工・骨細工は、指板の木材が軟らかい物だと、そちらから早く摩耗してしまうため、平らでなくなることがあります。その結果、ビビリ音が生じたりします。黒檀のような堅い木材を指板に使用すれば問題ありません。

★ペグの保守
 冬季と夏季に特に温度・湿度変化によってペグに問題が起こる場合があります。乾燥しているとペグは緩くなり滑りやすく、湿度が高いときつくなり回しにくくなったり、最悪の場合はまったくペグが回らなくなってしまいます。この時に無理に回そうとするとペグが折れてしまう場合がありますので、ご注意ください。修理に出すことをお勧めします。
 また、ペグがきしんだり滑らかでないときは、バイオリン用のコンポジションを塗ることで解決できることが多く、悪影響もありません。とくにすべりが良すぎるときにはそれを抑える作用もある良質なコンポジションをお勧めします。

●持ち歩き方

 ウードを体前方にボウル部を前に向け(つまり響板は自分の胸・腹側に向け)、ネック上部〜ペグボックス付け根あたりを持つようにしてください。
ソフトケースに入れた場合も同じです。背中に背負ったり取っ手を持って体横面に持つことは他者にに当たって破損する恐れがあります。とくに狭い場所や電車の中や街中など人や物が多いときには危険性が飛躍的に高まります。
『UD METODU』より

●フレットレスに慣れない頃は、バイオリンや三味線で初心者用によく用いられる手法を用いて、ポジションマークをテープで指板上に貼ってしまう、という手もあります。テープは目だっていやだ、というのであれば、小さく点をマーカーで記すだけでもよいです。微分音を使用するウードであっても、長調と同じドレミ・・の第1ポジションだけに貼っておくことで基本音はつかめます。


お勧めCD
上段は、左から、「ウード・モザイクス」 アラブ各国の有名曲を集めた、ウード独奏決定盤と、「タクシーム」第1集、2集。
下段は、アバディなど超一流ウードプレイヤーが揃ったウード・フェスティバルの4枚組。
      
お勧め書籍
アラブ音楽を全般的に理解するにはまずこの1冊でしょう。非常にわかりやすく書かれているのに、エッセンスがきちんとまとめれています。