品質管理につきまして

ウードやサズといった楽器は、高級品でも日本人の見方からすると「荒っぽい」と感じさせる仕上げも少なくありません。とくにアラブウードにその傾向が強いようです。小キズや小さなへこみは言うに及ばず、ネックの一部が数ミリへこんでいたり(そのような木材をそのまま問題ないと判断して使っているわけです)、かなり高級品のエジプトウードでもナットの骨がいびつだったり、ペグの木材がでこぼこの元のも形をそのまま一部に残していたりとか、塗装の刷毛の痕がくっきりわかるもの、刷毛の毛がそのまま入り込んでいたりと、やはり日本人的に細やかな仕上げというものはあまり気にしていない、という傾向があります。

また、今までに納品された楽器のボウルの中におがくずや弦の切れ端が10cmほどといったものがエジプトの名工でも入っていることがありました。
当初は大変驚きましたが、最近はやはり尺度が違うのだ、と納得しております。もちろん出荷前には極力それらを整備しておりますが、お客様には購入される前に理解していただきたい点でもあります。これも違う文化にかかわる場合に避けて通れない部分だとと考えております。

今までにも弊店の日本的な品質基準が合わないために製作側に何度もクレームをつけたり話し合ったりしてきたのですが、「演奏上に何も問題も無い」とまったく理解されない場合や、さらには「どこが不良品なのだ」と感情を害する場合さえもありました。もちろん一方的に相手側の言いなりになるということは避け、相手側にも歩み持ってもらう努力を重ね、一定の合意をしたが、同時にこちら側もある程度は相手側の基準を理解しなければという観点も持つようになってきました。それこそが相互国際理解だと思っております。相手側の「工業製品ではないのだ。手作りなのだから当然の部分だ」という主張をあるていどこちらが理解したということもあります。
イタリアやスペインの生産品を扱う輸入業者さんとお話をすると、同じような状況や日本のお客様とのギャップの悩みを感じている方が多いです。ですので格別中東諸国だから、というわけではないのです。イギリスの工業製品を扱う業者さんも「英国では合格した輸入品が日本ではよくはねられる」と言っていたので、日本の厳しい品質管理がむしろ異質なのかもしれません。


もちろん、音や演奏上にはまったく問題なくとも、日本国内の基準からして限界を超える場合(外観上気にされるお客様が多いことが予想される場合)は、作り直しを要求したりしておりますが、解決を見ない場合には弊店の判断でお値引きをして販売する場合もございます。(響板上の目立つ小さな凹みシミなど=使用木材のもとの状態に起因するものですが、の場合などです。目立たない場所でしたら問題なしと判断いたします)
弊店の商品説明文の中で「仕上げも最高」と表記がある場合は、上記の問題はほとんどない楽器だと判断していただいて結構です。

以上、ご理解のほどよろしくお願いいたします。